総裁記者会見(2023年2月25日)
全文
§1Haruhiko Kuroda
議論の内容につきましては、ただいま鈴木大臣から説明があったとおりでありまして、私からは二点申し上げました。まず世界経済等に関するセッションでは、世界経済の見通しやリスク要因、世界的な食料・エネルギー不安の影響などについて議論されました。私からは日本の物価動向や日本銀行の政策対応について説明いたしました。具体的には、日本の消費者物価は輸入物価の上昇を背景に生鮮食品を除くベースで+4.2%となっていますが、2023年度半ばにかけて 2%を下回る水準まで低下していくとみられるということも申し上げました。そのうえで、現在は経済をしっかりと支え、企業が賃上げをできる環境を整えることが重要であり、物価安定の目標の持続的・安定的な実現を目指して金融緩和を継続するということも申し上げました。次に、金融のセッションでは、2023年の金融安定、金融規制に関するG20の作業計画や暗号資産の金融システムに対する影響等について議論されましたが、私からは、このG20の作業計画などについて支持する旨を申し上げました。
§2Question
黒田総裁には、先日のG7の会見でも質問があったんですけれども、今回国際会議に出られるのが最後ということで、実際に参加国の方からお声がけがあったりですとか、最後というところでご自身を振り返られて、最後の国際会議、どのようなものだったかというのをお伺いできますでしょうか。
§3Haruhiko Kuroda
今回のG20が、私として最後のG20の参加になったわけですけれども、振り返りますとG20が 1999年にできまして、できたときから、当時は財務官として参加し、その後、アジア開発銀行総裁として参加し、この10年間は日本銀行総裁として参加してまいりました。その時々の重要な世界経済、金融の問題について、大変有意義な議論が行われ、それに対して何がしかの貢献ができたのではないかということは思いますが、それ以上に、そういった議論の中で学ぶことが非常に多かったというふうに思っております。
§4Question
黒田総裁にお伺いしたいんですけれども、本日、 G20の最後にフェアウェルセッションがあったんじゃないかという情報があるんですけれども、もしあったのであれば、どういった場で、黒田さんの方からどういうお言葉があったのか教えてください。
§5Haruhiko Kuroda
会議の最後に、議長から、今回のG20が私にとって最後のG20であるということで、フェアウェルというか、そういうことのご紹介がありましたので、私からは、そういったことに対してお礼を申し上げるとともに、先ほど申し上げたような、1999年以来G20の議論に参加して大変学ぶところが多かったということを申し上げました。
§6Question
黒田総裁にお願いします。冒頭の発言で日本の物価の状況を説明して、どういう政策スタンスでということで説明されたということだったんですけれども、各国、総裁も木曜日におっしゃったように、他の国では物価が非常に高止まっているというか、まだまだ油断ができない、しっかり引締めを緩めるわけにはいかないという状況だと思うんですけれども、そういった中で、日本の、ある意味特殊な状況を改めてどういうふうに説明されたのかというところと、それから総裁からして、やっぱりこれはかなり日本特有の要因というのが働いて、こういう各国との差異が生まれているのかというところを教えていただければと思います。
§7Haruhiko Kuroda
私が説明したことは先ほど申し上げたとおりで、足元4.2%の消費者物価の上昇になっていますけれども、これの大半は、輸入物価の上昇を消費者物価に転嫁した結果でありまして、ご案内のとおり、輸入物価の上昇率も既に下がってきております。それから、2月分から、政府によるエネルギー価格高騰に対応する補助金が出ていますので、その影響もあります。そうした輸入物価の影響から、2023年度の半ばにかけて物価上昇率は低下していって、2%を割るというのがわれわれの見通しであります。ただ、その後は、賃金の上昇率を反映して、少し物価上昇率は高まっていくというふうに考えていますけれども、現在の政策委員会の見通しは、ご案内のとおり、2023年度も 2024年度も 2%以下というのが続くという見通しになっております。そうした状況で、確かに欧米先進国とはかなり状況が異なっているということもありまして、2%の物価上昇率が、いわば安定的・持続的に達成されるように現在は金融緩和を続けているという考え方をして、こうした考え方は、他のG20諸国の中央銀行総裁からも十分理解をされたというふうに思っております。以上