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日本銀行講演2019年2月27日片岡剛士, 審議委員

【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(香川県金融経済懇談会)

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日本銀行政策委員会審議委員片岡剛士わが国の経済・物価情勢と金融政策 ── 香川県金融経済懇談会における挨拶要旨 ── 日本銀行 2019年2月27日 1

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1.はじめに日本銀行の片岡でございます。この度は香川県の政界、財界、学界を代表する皆様と懇談をさせていただく貴重な機会を賜り、誠にありがとうございます。また、皆様には、日頃から日本銀行高松支店の業務運営に対し、ご支援、ご協力を頂いておりますことを、この場をお借りして改めて厚く御礼申し上げます。本日は、わが国の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営につきまして、私の考え方を交えながらご説明します。その後、皆様から、当地経済に関するお話や、日本銀行の業務や金融政策に対する率直なご意見をお聞かせいただければと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。2.経済・物価情勢(1)海外経済の動向最初に、海外経済の動向についてお話します。海外経済は、2016年後半以降の世界同時成長から、足もとは、各国の動きにばらつきが目立ち、様々なリスク要因が及ぼす影響に十分に注意すべき踊り場の状態に移ったと私自身は考えています。図表1にあるIMFの世界経済見通しでは、2020年にかけて3%台半ばの成長が続くと予想されています。しかし、図表の右側に示したように、2018年4月時点の見通しと比較すると、下方修正が目立っています。また、図表2で、世界の購買担当者景気指数(PMI)をみますと、製造業・サービス業ともに50を上回るものの、海外経済が不安定化した 2016年の水準まで低下しています。

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このように、海外経済全体の成長ペースは、昨年と比べて弱まっていることが窺えます。

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主要国・地域別に現状を敷衍しますと、米国経済は、これまでの金利上昇を背景に、金利に敏感な住宅投資が弱いほか、ソフトデータの一部に頭打ち感がみられ、輸出の増勢も鈍化していますが、個人消費は減税と良好な雇用環境に支えられています。欧州経済については、内需は概ね堅調に推移していますが、EUの燃費規制強化やイタリア・フランスの政治情勢の影響もあり、成長ペースが鈍化しています。中国経済も、欧州と同じく成長ペースが鈍化しており、新興国経済への影響が懸念されます。リスク要因としては、引き続き、米国のマクロ政策運営や保護主義的な動きの帰趨と、それらの世界経済・国際金融市場への影響、英国のEU離脱交渉の展開といったものが挙げられますが、こうしたリスク要因の影響は既に一部でみられ始めており、今後の動向には細心の注意が必要です。(2)わが国の経済情勢次に、わが国経済をみていきます。まず足もとの動向です。2018年10~12月期の実質GDPは、前期に自然災害等により内需が落ち込んだ反動もあって、2四半期ぶりにプラス成長となりました。もっとも、海外経済の不確実性が増す中でマイナス成長からの回復の勢いは弱い状況です。図表3には実質GDP成長率と需要項目別の寄与度をまとめています。民間消費や民間設備投資が持ち直した一方で、外需寄与のマイナス幅は、輸入の増加もあって、前期と比べ拡大しました。

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輸出は2四半期ぶりに増加したものの、自然災害に伴う供給制約の影響で落ち込んだ後としては低い伸びにとどまっています1。海外経済が緩やかに減

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1 実質GDP成長率(前年同期比)は2018年1~3月期以降伸びが低下基調にあり、2018年10~12月期は前回の消費税率引き上げ後の 2014年10~12月期以来となるマイナス成長となった点にも注意が必要です。 3

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速する中、米中貿易摩擦もあって中国からの受注が落ち込んだことが影響していると考えられます。わが国経済の先行きについて、図表4で、本年1月の展望レポートにおける政策委員の経済見通しの中央値をみますと、実質GDPは、2018年度と 2019年度が+0.9%、2020年度は+1.0%の成長が見込まれています。もっとも、私自身は、これよりも緩やかな成長ペースを見込んでいます。具体的には、2018年度は、海外経済の不確実性が増す中で、経済の回復ペースは緩やかなものにとどまり、年度成長率はゼロ%台半ばになるとみています。また、2019年度および2020年度は、ゼロ%台後半の成長率になると予想しています。2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響については、需要変動の平準化措置がとられることなどから、家計の負担は2014年度の引き上げ時と比較すると小さいと見込まれますが、2014年度以降の消費の拡大テンポがかなり緩慢であることや、昨年から消費者態度指数など家計のマインド指標が低下を続けている2ことが気がかりです(図表5)。また、先に述べた世界経済の不確実性の高まりが、外需の鈍化予想を通じて企業活動を一定程度制約すると考えられるため、消費税率引き上げ以降の経済の持ち直しは緩慢なペースになると考えています。(3)物価の現状と先行き続いて物価動向についてみていきます。

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本年1月の消費者物価指数の実績は、図表6左図のとおり、生鮮食品を除く総合で前年比+0.8%の上昇となりました。内訳をみると、エネルギー価格の寄与が+0.4%ポイントと大きく、需給動向を直接的に反映する生鮮食品およびエネルギーを除く総合では、前年比+0.4%の

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2 消費者態度指数を構成する意識指標別にみると、昨年からの消費者態度指数の低下には「雇用環境」(職の安定性、みつけやすさ)や「暮らし向き」の低下が主に寄与しています。 4

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上昇にとどまっています。図表6右図では、消費者物価の基調的な変動を表すいくつかの指標を示していますが、いずれも弱めの動きが続いています。物価の基調的な変動に影響を及ぼす指標としては、マクロの需給ギャップと中長期的な予想インフレ率の 2つが重要です。図表7左図にある需給ギャップは、資本・労働市場の改善を受けて需要超過の状況が続いていますが、2018年7~9月期には、自然災害の影響もあり需要超過幅がやや縮小しました。また、予想インフレ率については、図表7右図にある通り、弱めの動きが続いているとみています。これには、過去、長期間にわたってデフレが続いたことや、足もとの物価の動きが弱いことが作用しているほか、日本銀行が掲げる2%の「物価安定の目標3」の実現に対する信認が十分に強まっていないことも影響していると考えています。物価の先行きについてですが、本年1月の展望レポートにおける政策委員見通しの中央値は、消費税率引き上げと教育無償化政策の影響を除いた場合には4、2018年度+0.8%、2019年度+0.9%、2020年度+1.4%となっています(前掲図表4)。弱めの物価情勢を受けて見通しの引き下げが続いていますが、2%の物価目標に向けたモメンタム(勢い)は維持されているというのが日本銀行の見解です。

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しかし、私自身は、 2%に向けて物価上昇率が高まる蓋然性は現時点では低く、モメンタムも強まってはいないと判断しており、1月の展望レポートにおける一部の記述に賛成しませんでした。こう考える理由は、大きく4つあります。

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3 以下では「物価目標」と記載します。4 携帯電話通信料が値下げされるとすれば、短期的には物価に対して下押し圧力として作用すると考えられます。 5

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1つ目は、現状、需給ギャップの拡大が物価の上昇に効きにくくなっている可能性があることです5。2つ目は、需給ギャップの拡大基調が続かない可能性があることです。需給ギャップの拡大基調がさらに強まっていけば、企業はコスト上昇や労働市場の引き締まりをより反映するかたちで商品価格や賃金を引き上げ、家計が値上げを許容する動きもより進むことが見込まれます。しかし、私は、先行きの経済動向を踏まえると、需給ギャップの拡大基調が、この先、逆に弱まる可能性も相応にあると考えています6。3つ目は、これら2点を踏まえると、適合的な期待形成を通じた予想インフレ率の上昇が、実際の物価上昇率を押し上げる、という経路にも当面期待できないことです。そして4つ目は、政策委員の物価見通しの下方修正に対して金融政策が現状維持とされる状況が続く中では、物価目標実現への信認が強まるとは考えにくいため、信認強化を背景とした予想インフレ率の上昇がけん引するかたちでの物価上昇を見通すことも困難であることです。3.金融政策運営以上の経済・物価見通しを踏まえつつ、現在の金融政策の概要についてご説明します。そのうえで、金融政策運営に対する私の考えにふれたいと思います。日本銀行は、 2%の物価目標の実現を目指して「長短金利操作付き量的・質的

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52016年後半から 2018年にかけて、日本銀行スタッフ推計の需給ギャップは、供給超過の水準から1%台半ば程度の需要超過の水準まで拡大していますが、この間、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数の前年比は、0.3%前後で大きく変化していません。62.(2)で述べたように、2014年度以降の消費の拡大テンポがかなり緩慢である中で、昨年から家計のマインド指標が低下を続けていること、世界経済の不確実性の高まりが、外需の鈍化予想を通じて企業活動を一定程度制約する可能性があることなどから、2019年10月の消費税率引き上げ以降の経済の持ち直しは緩慢なペースになると考えられます。 6

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金融緩和」という枠組みのもとで金融政策を運営しています。この枠組みは、大きく3つの手段から構成されています(図表8)。1点目は長短金利操作です。短期政策金利をマイナス 0.1%、長期金利の操作目標をゼロ%程度と設定し、長期金利については、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとして、長期国債の買入れを行っています。2点目は、 ETFをはじめとしたリスク資産の買入れです。ETFについては、保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するよう買入れていますが、資産価格のリスクプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて買入れ額が上下に変動しうるものとして運営しています。3点目は、先行きの政策運営に関する対外的な約束、すなわちコミットメントです。昨年7月には、「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」とのフォワードガイダンスを導入しました。それまでのマネタリーベースに関する「オーバーシュート型コミットメント」に加え、将来の政策金利の水準を予め約束することで、金融緩和の持続に対する市場の信認や期待を高めることを狙ったものです。こうした政策手段のうち、私は、長短金利操作とコミットメントの2つに対して反対しました。

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長短金利操作については、できるだけ早期に物価目標を達成するという政府との「共同声明」で謳われた日本銀行の責務に鑑みますと、私は、物価目標と実際の物価上昇率に相応の距離がある現状では、金融緩和を強化することで、需給ギャップの需要超過幅を一段と拡大させるよう働きかけることが適当であり7、併せて、予想インフレ率に働きかけるかたちでコミットメント

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7 具体的には、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、金融緩和を強化することが必要と考えています。 7 を強化することも必要であると判断しました8。さらに、経済・物価情勢に対する不確実性が強まる中で、デフレからの完全脱却を目指すうえでは、これらに加えて、財政・金融政策のさらなる連携を図る工夫を講じることで、市場や経済主体の期待や予想に働きかけていくことも重要であると考えました9。なお、私は、物価目標の達成まで粘り強く現在の金融緩和を続けるという政策運営方針に関しても異論をもっています。大胆な金融緩和のもとで、需給ギャップが拡大した状態が長期化することは、その後の景気循環や金融循環の振幅を大きくするリスクがあるほか10、金融緩和が長期化すれば、先行きの経済が様々な不確実性に直面する期間も長くなることから、物価目標達成の不確実性も増すことに留意する必要があります。また、長期化するほど、出口戦略の負荷が高まりますし、金融緩和の副作用も累積的に高まります。私は、副作用への配慮は、早期の物価目標達成により緩和の長期化を防ぐという軸に沿って検討すべきであると考えています。

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8 具体的には、中長期の予想インフレ率に関する現状評価が下方修正された場合には追加緩和手段を講じるとのコミットメントが必要であると考えています。9 わが国では、1990年代半ば以降、デフレが長期化する中で、物価が上昇しないことを前提とした経済活動が合理的となり、そうしたもとで企業や家計のマインドが形成されてきたと考えられます。こうしたインフレ予想のアンカー(碇)を失った状況のもとで、 2%の物価目標を達成・安定化するためには、金融緩和の強化のみならず、財政政策との連携(ポリシーミックス)をより強化することも重要であると考えます。10 わが国では、需給ギャップがマイナスの状態が長期にわたって続いたことを念頭に置くと、インフレ率が低位にとどまる構造を変化させるためには、需給ギャップがプラスの状態を長期にわたり維持する必要があるとの考え方もあります。もっとも、本文中で指摘したリスクを考慮すると、需給ギャップのプラス幅拡大のみならず、コミットメントの強化を通じて予想インフレ率を高め、できるだけ早期に物価目標を達成することが最善と考えられます。 8

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4.ドイツの産業政策とわが国への示唆11さて、ここで、やや趣を変えてドイツの産業政策についてお話したいと思います。ドイツの産業政策といえば「インダストリ 4.0」という単語を耳にされた方が多いのではないかと思います。私の理解では、インダストリ4.0 は、デジタル技術を用いて、生産工程の効率化や品質の向上、多品種少量生産を行うだけではなく、様々な環境変化を予測し適応力を高めることで生産の自己最適化を目指す概念です。つまり、生産工程のデジタル化にとどまらず、デジタル技術を使って環境変化に適応した生産活動を行うという考え方です。インダストリ 4.0 は、ドイツ連邦政府が 2011年に打ち出した国家戦略で、現在も連邦政府が主導的役割を果たしています。もっとも、図表9でその枠組みを見ますと、連邦大臣をトップとした政府の関与に加え、産業界、労働組合、研究機関を含む、産学官にわたる縦横の幅広い連携を図るものになっています。すなわち、政府が基本的な戦略を立案し、政策の推進役となっているだけでなく、政策をバリューチェーンの末端まで浸透させるべく、中小企業の現場の意見や課題を吸い上げる仕組みが整えられています。

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これに加えて、ドイツでは、州政府の経済大臣が高い専門性を有することも珍しくなく、また、大学等の研究者が研究成果をビジネスに活用することに大変積極的であることも、産学官の連携を強める好循環を生み出している面があります。インダストリ 4.0 のほかにも、ドイツでは、産業の振興を図る政策として、地方政府がスタートアップへの支援に積極的です。起業には、アイディア創出やビジネス化構想を練る初期段階から、資金調達、商品化など事業として独り立ちす

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11 本節の作成に当たっては、Georg K. Loeer NRW Japan 社長、尾木蔵人・独ザクセン州経済振興公社日本代表部代表に大変貴重なご支援を頂きました。記して感謝いたします。 9

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る段階まで、様々な知識・ノウハウや資金が必要となります。こうした各段階に対して、地方政府は手厚い支援を行い、自らも投資することで、創業企業への投資の呼び水としての役割を積極的に果たしています。図表 10 にお示ししたように、わが国とドイツは、製造業が全産業に占める割合が大きく、少子高齢化が進んでいるという共通点があります。ドイツにおける中小企業経営者の高齢化のペースは、わが国よりも緩やかですが、円滑な事業承継と創業企業の育成は、ドイツでも重要な課題となっています。また、新興国の台頭により製造業の国際競争が激化するという環境変化に対応するためには、国内製造業を高付加価値化する必要があるという点も日独共通の課題といえます。他方で日独には相違点もあります。特に重要と考えられるのは、ドイツは、わが国よりも、中小企業の海外進出や輸出が活発であることです。この結果、ドイツには、特定分野で世界的なシェアを持つニッチトップ企業、いわゆる「隠れたチャンピオン」が多数存在しています。少子高齢化が進む中、産学官の縦横の連携によって国内産業の高付加価値化が図られるとともに、革新的な企業への支援に重点が置かれているドイツの産業政策、そして、新たな市場を求めて、企業系列に関係なく海外展開を図るドイツの中小企業から、わが国が学ぶべき点は多々あるのではないでしょうか。

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日独には共通点が多くあるからこそ、連携を深めて互いの事業機会を拡大させていくことができるようにも思います。5.おわりに最後に、香川県経済についてお話しいたします。

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香川県は、古来から、弘法大師空海ゆかりの地として知られ、中世には屋島を舞台にした源平合戦が繰り広げられるなど、歴史に名を刻んできました。江戸時代に入ってからも、金毘羅参りの参拝客が全国から海を渡ってやって来るなど、瀬戸内海の交通・経済の要衝として発展してきました。戦後も、引き続き四国の玄関口として官公庁の出先機関や大企業の支店機能が集中する中で経済発展を遂げるとともに、昨年30 周年を迎えた瀬戸大橋の開通後は、ヒト、モノ、カネの流れの中心地として、その役割を一層増してきたところです。このように、常に四国の外との結節点であったことが、当地の先進的・開放的な風土を育んでいるように感じます。思えば、江戸時代を代表する発明家である平賀源内も、讃岐国、現在の香川県の出身です。さらに、こうした地理的特徴が、様々な分野で日本一・世界一のシェアを誇る、いわゆるニッチトップ企業を生み出す土壌となっており、香川県経済の強みにつながっているのではないかと考えています。この点は、先ほどのドイツの強みに類するのではないでしょうか。近年では、特産品や歴史の魅力を活かした観光面における取り組みが強化されています。例えば、「うどん県」としてのPR活動や、屋島の再整備、栗林公園や瀬戸内海の島々など、豊富な観光資源を活かす取り組みが進められています。

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特に、今年4回目を迎える瀬戸内国際芸術祭は、世界的にも注目される催しとなり、アジア各地を結ぶ国際線の増便もあって、今回も世界各地から多くの観光客が訪れることが期待されています。こうした中、四国新幹線の整備や四国遍路の世界遺産登録に向けた機運も高まっていると伺っています。当地の景気については、昨年12月短観における県内製造業の業況判断DIが9四半期振りにプラス転化するなど、全国の改善ペースからはやや遅れている

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11 ものの、このところ景気改善の動きが明確になってきています。特に、設備投資については、幅広い業種で省力化投資や能力増強投資などが計画されており、今年度の設備投資計画は、過去最も高い伸び率となっています。当地は全国平均よりも速いペースで人口減少が進んでいることもあって、人手不足感が強いことが特徴ですが、人手不足という経営課題をイノベーションの好機と捉え、省力化や生産性向上を進めることで、持続可能なビジネスモデルの構築を目指す、いわば課題解決型の投資が目立っています。この間、個人消費についても、雇用・所得環境の改善を背景に、着実な持ち直しの動きが続いています。こうした点を踏まえ、全体として、香川県の景気は回復していると判断しています。今後も、行政や産業界、金融界などが、さらに連携を深めながら、香川県の魅力を最大限に活かすことで、当地経済が益々発展していくことを期待しています。日本銀行としても、高松支店を中心に、地域活性化に向けた取り組みに少しでも貢献できるよう努めて参りたいと考えています。ご清聴ありがとうございました。以上 わが国の経済・物価情勢と金融政策2019年2月27日日本銀行政策委員会審議委員片岡剛士─ 香川県金融経済懇談会における挨拶 ─

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世界経済見通し(IMF)図表1(注)2019年1月見通しにおける2018年は推計値、2019年以降は予測値。2018年4月見通しはいずれも予測値。インドは年度ベース。(出所)IMF "World Economic Outlook (January 2019, April 2018)"2019年1月時点の見通し 2018年4月見通しとの差2018年2019年2020年2018年2019年2020年世界 3.73.53.6 -0.2 -0.4 -0.2先進国日本 0.91.10.5 -0.3 +0.2 +0.2米国 2.92.51.80.0 -0.2 -0.1ユーロ圏 1.81.61.7 -0.6 -0.40.0ドイツ 1.51.31.6 -1.0 -0.7 +0.1フランス 1.51.51.6 -0.6 -0.5 -0.2英国 1.41.51.6 -0.20.0 +0.1新興国中国 6.66.26.20.0 -0.2 -0.1ブラジル 1.32.52.2 -1.00.00.0インド 7.37.57.7 -0.1 -0.3 -0.2ロシア 1.71.61.70.0 +0.1 +0.2(前年比、%、%ポイント)

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世界の購買担当者景気指数図表2(注)J.P.MorganグローバルPMIを使用。50を上回れば前月比改善、50を下回れば悪化。(出所)IHS Markit (© and database right IHS Markit Ltd 2019. All rights reserved.)4550556013141516171819グローバル製造業PMI生産指数グローバルサービス業 PMI事業活動指数(DI、%ポイント)2013年141516171819 実質GDP成長率(需要項目別寄与度)図表3(出所)内閣府「2018年10~12月期四半期別GDP速報(1次速報値)」-20-15-10-505101513年1415161718民間消費民間設備投資等政府支出輸出輸入在庫等実質GDP成長率(季節調整済前期比年率、%)2013年1415161718

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経済・物価見通し(2019年1月展望レポート)(注)消費税率引き上げの2019年度と2020年度の消費者物価への影響は、それぞれ+0.5%ポイント。教育無償化政策の影響は、それぞれ-0.3%ポイント、-0.4%ポイント(試算値)。(出所)日本銀行「経済・物価情勢の展望(2019年1月)」実質GDP消費者物価指数(除く生鮮食品)(参考)消費税率引き上げ・教育無償化政策の影響を除くケース2018年度+0.9 +0.82018年10月時点の見通し+1.4 +0.92019年度+0.9 +1.1 +0.92018年10月時点の見通し+0.8 +1.6 +1.42020年度+1.0 +1.5 +1.42018年10月時点の見通し+0.8 +1.6 +1.5── 日本銀行政策委員見通しの中央値、対前年度比、%図表4

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消費関連指標図表5消費者態度指数消費税率引き上げ前後の消費動向(注)直近は2001年12月と2018年12月。(出所)内閣府「消費総合指数」(注)2人以上の世帯。消費者態度指数は、暮らし向き、収入の増え方、雇用環境、耐久消費財の買い時判断の4つの意識指標から算出される。2013年4月と2018年10月調査前後には、調査方法変更による不連続がある。(出所)内閣府「消費動向調査」105.196.7100.0103.999.4104.6969798991001011021031041051061314151617182014年4月の引き上げ(5%→8%)前後1997年4月の引き上げ(3%→5%)前後(1996年4月、2013年4月=100)96年度 979899000113年度 141516171836384042444613141516171819年↑ 改善↓ 悪化(季節調整済)2013年141516171819

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消費者物価の動向図表6(注)消費税調整済み。(出所)総務省「消費者物価指数」基調的なインフレ率消費者物価指数(前年比)(注)上昇・下落品目比率は、前月比上昇・下落した品目の割合(CPI除く生鮮、消費税調整済み)。直近は2018年12月。(出所)日本銀行「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」、総務省-50050-1.0-0.50.00.51.011年12131415161718刈込平均値加重中央値上昇品目比率-下落品目比率(右軸)(前年比、%)(%ポイント)11年12131415161718-2.0-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52.0111213141516171819生鮮食品を除く総合生鮮食品及びエネルギーを除く総合(前年比、%)年11年1213141516171819

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-4-2024-8-6-4-202468858891949700030609121518労働投入ギャップ資本投入ギャップ需給ギャップ(参考)消費者物価指数前年比(除く生鮮食品、エネルギー、右軸)(%、%ポイント)5.07%(90年10-12月)1.78%(97年1-3月)2.02%(07年10-12月)1.57%(18年4-6月)年(%)需給ギャップと予想物価上昇率図表7合成予想物価上昇率需給ギャップ(注)1. コンセンサス・フォーキャストは、2014/2Q以前は半期調査を線形補間。生活意識アンケートは、+5%以上および-5%以下の回答を除く。短観(販売価格DI)は、3か月前比の実績。2. 各主体のインフレ予想として、企業は短観、家計は生活意識アンケート、専門家・市場は①コンセンサス・フォーキャスト、②QUICK調査、③インフレ・スワップ・レートをそれぞれ使用。(出所)Consensus Economics「コンセンサス・フォーキャスト」、QUICK「QUICK月次調査(債券)」、Bloomberg、日本銀行(注)需給ギャップは、日本銀行スタッフによる推計値(2019年1月30日公表時点)。消費者物価指数は消費税調整済み。

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(出所)総務省「消費者物価指数(全国、2015年基準)」、日本銀行「需給ギャップと潜在成長率」0.00.51.01.52.0101112131415161718企業、家計、専門家(コンセンサス・フォーキャスト)のインフレ予想の合成企業、家計、専門家(QUICK調査)のインフレ予想の合成企業、家計、市場(インフレ・スワップ・レート)のインフレ予想の合成年(前年比、%)

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金融政策の概要②リスク資産の買入れ③コミットメント(先行きの政策運営に関する約束)①長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%を適用する。長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとする。ETF、J-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。オーバーシュート型コミットメント:「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。」長短金利のフォワードガイダンス:「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。」図表8

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インダストリ4.0の枠組み技術・実務の専門家による意思決定ワーキンググループ メンバーは専門家と政府関係者。① 標準化、規格化、参照アーキテクチャー② 技術応用シナリオ③ 法制度④ 雇用、教育、職業訓練⑤ ビジネスモデル⑥ ネットワークセキュリティ戦略委員会 アジェンダの設定、運営促進、利害調整を行う。 メンバー:・連邦経済技術省事務次官・運営委員会の代表者・連邦首相府と内務省の代表者・各州の代表者・産業団体の代表者・労働組合の代表者・研究機関の代表者事務局運営委員会 戦略策定、技術面のコーディネーション、意思決定を行う。 メンバーは経済大臣と企業経営者、ワーキンググループ代表者。社会、自治体による政策ガイダンス市場の活動研究評議会企業コンソーシアム 技術の応用。 テスト工程の確立。 市場での製品の展開。標準化評議会連邦経済エネルギー大臣、連邦教育研究大臣テストラボ・ネットワーク(出所)ドイツ連邦経済エネルギー省 "Structure of the 'Industrie 4.0' platform"図表9

§38

0.00.51.01.52.02.53.00004081216ドイツ日本世界平均年31%27%0% 100%ドイツ日本農林水産業鉱業、製造業、建設業その他産業010203040506039歳以下 40-44歳 45-49歳 50-54歳 55-59歳 60歳以上ドイツ 2002年ドイツ 2016年日本 2000年日本 2015年(%)051015202530350910111213141516ドイツ日本(%)(年、年度)0200400600800100012001400ドイツ米国日本オーストリアスイスイタリアフランス中国英国(社)図表10日本とドイツの共通点・相違点(1)産業分布(2)少子高齢化(3)輸出に占める中小企業の割合(出所)KfW; 中小企業庁「中小企業白書」; 世銀(注)横軸は、ドイツが年、日本が年度。日本の直近は2015年度。(出所)OECD, "Exports by business size"; 中小企業庁「中小企業白書」(4)隠れたチャンピオンの国際比較(注)「隠れたチャンピオン」の条件は、①特定の分野で世界トップ3以内、または該当国が属する大陸でトップ、②売上高が50億ユーロ未満、③一般的にあまり知られていない、の3つ。

§39

(出所)Herman Simon, "HiddenChampion of the 21stCentury"▽ 中小企業経営者の年齢分布 ▽ 出生率(注)ドイツは2018年、日本は2017年度。(出所)ドイツ連邦統計局"National accounts"; 内閣府「2017年度国民経済計算」