← 戻る
日本銀行声明2011年6月14日

当面の金融政策運営について(現状維持、成長基盤強化支援資金供給における新たな貸付枠の設定、12時42分公表)

全文

§1

2011年6月14日日本銀行当面の金融政策運営について1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致(注1))。無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す。2.わが国の経済は、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられている。すなわち、生産や輸出は、震災後に大きく低下し、国内民間需要も弱い動きとなった。こうした下押し圧力はなお続いているが、最近は供給面の制約が和らぎ始め、家計や企業のマインドも幾分改善しつつあるもとで、生産活動や国内民間需要に持ち直しの動きもみられている。この間、金融環境をみると、総じて緩和の動きが続いているが、震災後、中小企業を中心に一部企業の資金繰りに厳しさが窺われる。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、小幅のプラスとなっている。3.先行きのわが国経済は、当面、生産面を中心に下押し圧力が残るとみられる。その後は、供給面での制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経済の改善を背景とする輸出の増加や、資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、2011年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。

§2

消費者物価の前年比は、小幅のプラスで推移するとみられる(注2)。以上を踏まえると、日本経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していくと考えられる。4.リスク要因をみると、景気については、震災がわが国経済に及ぼす影響の不確実性が大きい。海外経済については、バランスシート調整が米国経済に与える影響や、欧州のソブリン問題の帰趨について、引き続き注意が必要である。新興国・資源国については、このところ減速の兆しもみられるが、依然として上振れの可能性にも注意が必要である。この間、国際商品市況の上昇については、その背景にある新興

§3

(注1)賛成:白川委員、山口委員、西村委員、野田委員、中村委員、亀崎委員、宮尾委員、森本委員、白井委員。反対:なし。(注2)本年8月の基準改定に伴い、消費者物価指数の前年比は、下方改定される可能性が高い。

§4

国・資源国の高成長が輸出の増加につながる一方、交易条件の悪化に伴う実質購買力の低下が国内民間需要を下押しする面もある。以上様々な要因はあるが、当面は、震災の影響を中心に、下振れリスクを意識する必要がある。物価面では、国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。5.昨年夏以来実施している成長基盤強化を支援するための資金供給は、金融機関の自主的な取り組みを進めるうえでの「呼び水」としての役割を果たしてきている。金融機関の取り組みをさらに後押ししていく観点から、資本性資金の供給や従来型の担保・保証に依存しない融資に着目し、今後、これを支援していくことが適当と考えられる。こうした判断に基づき、今回の会合では、出資や動産・債権担保融資(いわゆる「ABL」)などを対象として、新たな貸付枠を設定することを決定した(別添参照)。日本銀行としては、今回の措置によって、金融機関が、金融面の手法を一段と広げ、わが国経済の成長基盤の強化に向けて、さらに活発に取り組むことを期待している。

§5

6.日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するために、包括的な金融緩和政策を通じた強力な金融緩和の推進、金融市場の安定確保、成長基盤強化の支援という3 つの措置を通じて、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく。今後とも、震災の影響を始め、先行きの経済・物価動向を注意深く点検した上で、必要と判断される場合には、適切な措置を講じていく方針である。以上

§6

別添 成長基盤強化支援資金供給における新たな貸付枠の概要1.対象とする投融資(1)出資等(資本性を有する投融資)(2)動産・債権担保融資(いわゆる「ABL」)等、不動産担保および人的保証に依存しない融資2.対象先金融機関成長基盤強化支援資金供給の対象先金融機関3.資金供給方式共通担保を担保とする貸し付け4.貸付期間原則2年とし、1回の借り換えを可能とする(最長4年)。―― 新規貸付は、四半期に1回の頻度で実施する予定。5.貸付利率0.1%6.貸付総額5千億円(従来の3兆円の貸付総額とは別に設定する)7.対象先金融機関毎の貸付限度額(1)貸付残高の上限は 500 億円(従来の 1,500 億円の上限とは別に設定する)(2)各対象先金融機関は、2010年4月以降に行った出資等とABL等の残高の範囲内で、借り入れを行うことができる。 ―― 本貸付枠の対象となる個別投融資の期間は限定しない(従来は、 1年以上)。また、対象となる1件当たりの金額を1百万円以上まで引き下げる(従来は、1千万円以上)。―― 投資ファンド向けは、具体的な投資案件が未決定の段階でも、出資した時点で資金供給の対象とする(但し、1年後を目途に確認を行い、投融資実績がない場合には期日前返済となる)。8.貸付受付期限2012年3月末(新規貸付の最終実行期限は同年6月末) 以上 (参考)

§7

・開催時間――6月13日(月) 14:00~16:326月14日(火) 9:00~12:37 ・出席委員――議長白川方明(総裁) 山口秀 (副総裁) 西村淸彦(副総裁) 野田忠男(審議委員) 中村清次(〃) 亀崎英敏(〃) 宮尾龍蔵(〃) 森本宜久(〃) 白井早由里(〃) 上記のほか、6月13日木下康司財務省大臣官房総括審議官(14:00~16:32)梅溪健児内閣府政策統括官(経済財政運営担当)(14:00~16:32) 6月14日櫻井充財務副大臣(9:00~12:25、12:32~12:37)末松義規内閣府副大臣(9:00~12:25、12:32~12:37)が出席。 ・金融経済月報の公表日時――6月15日(水)14:00 ・議事要旨の公表日時――7月15日(金)8:50以上