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日本銀行議事要旨2012年11月26日

金融政策決定会合議事要旨(10月30日開催分)

全文

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2012.11.26日本銀行 政策委員会金融政策決定会合議事要旨(2012年10月30日開催分)本議事要旨は、日本銀行法第 20 条第1項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2012年11月19、20日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。公表時間11月26日(月) 8時50分 本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合(引用は含まれません)は、予め日本銀行政策委員会室までご相談ください。引用・転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

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(開催要領)1.開催日時:2012年10月30日(9:00~14:41)2.場所:日本銀行本店3.出席委員:議長白川方明(総裁)山口廣秀(副総裁)西村淸彦(〃)宮尾龍蔵(審議委員)森本宜久(〃)白井さゆり(〃)石田浩二(〃)佐藤健裕(〃)木内登英(〃)4.政府からの出席者:財務省武正公一財務副大臣内閣府松山健士内閣府審議官(9:00~10:24)前原誠司経済財政政策担当大臣(10:25~14:41)(執行部からの報告者)理事中曽宏理事早川英男理事木下信行理事門間一夫企画局長内田眞一企画局審議役梅森徹企画局政策企画課長神山一成金融市場局長青木周平調査統計局長前田栄治調査統計局経済調査課長鎌田康一郎国際局長大野英昭(事務局)政策委員会室長飯野裕二政策委員会室企画役橘朋廣企画局企画調整課長菅野浩之企画局企画役川本卓司企画局企画役今久保圭

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Ⅰ.金融経済情勢等に関する執行部からの報告の概要1.最近の金融市場調節の運営実績金融市場調節は、前回会合( 10月4日、5日)で決定された方針1のもとで、金融市場における需要を十分満たす潤沢な資金供給を行い、金融市場の安定確保に万全を期した。こうした中、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.07%台後半から 0.09%台前半の間で推移した。資産買入等の基金の運営状況をみると、年度下期入り後も、金融機関の益出し売りの影響などから、長期国債買入れおよび短期国債買入れに対する応札は、いずれもしっかりとしている。固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションについても、前回会合以降、「札割れ」は1回にとどまるなど、総じてしっかりした応札がみられている。2.金融・為替市場動向短期金融市場では、金利は、長めのゾーンを含め、低位で安定的に推移している。GCレポレートは、0.1%程度で推移している。ターム物金利をみると、短国レートは、長めのゾーンを含め、0.1%程度で安定的に推移しているが、発行レートは 0.1%をごく僅かに下回っている。長めのターム物の銀行間取引金利は、横ばい圏内の動きとなっている。長期金利についてみると、2年債利回りは、0.1%で安定的に推移している。10年債利回りは、0.7%台後半の狭いレンジで揉み合う展開が続いている。

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日経平均株価は、為替の円安方向の動きもあって、幾分上昇したが、引き続き、8千円台後半での推移となっている。REIT価格は、上昇を続けている。社債流通利回りの対国債スプレッドは、投資家の底堅い需要を背景に、引き続き総じて横ばい圏内で推移している。為替相場をみると、円の対米ドル相場は幾分円安方向の動きとなり、足もとでは 79 円台で推移している。円の対ユーロ相場も、円安方向の動きとなっている。3.海外金融経済情勢海外経済は、減速した状態が強まっている。

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1 「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す。」

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米国経済は、企業部門に弱めの動きがみられるものの、基調としては、家計部門を中心に緩やかな回復を続けている。輸出が伸び悩み、企業マインドが慎重化しているもとで、生産や設備投資の増勢は鈍化している。一方、家計部門をみると、バランスシート問題の重石が徐々に和らぐ中、雇用情勢も緩やかな改善傾向を辿っているもとで、個人消費は緩やかに増加している。住宅投資も、低金利の後押しなどを背景に、低水準ながらも持ち直しの動きが続いている。物価面では、ガソリン価格上昇の影響から、総合ベースの消費者物価の前年比はプラス幅が拡大している。一方、コアベースの消費者物価の前年比については、横ばい圏内の動きとなっている。欧州経済をみると、ユーロエリア経済は、緩やかに後退している。欧州債務問題が長引く中で、マインドの悪化は企業に続き家計へ、また、周縁国からコア国へ、それぞれ拡がっている。そうしたもとで、民間設備投資は減少し、個人消費にも、耐久財を中心に弱めの動きがみられている。輸出も伸び悩んでいる。こうした需要動向のもとで、生産は減少基調にある。物価面をみると、緩和的な需給環境などが物価押し下げ圧力として作用しているが、ガソリン価格の上昇などを反映して、総合ベースの消費者物価の前年比は一頃に比べ幾分拡大している。この間、英国経済は停滞している。アジア経済をみると、中国経済は、減速した状態が長引いている。

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個人消費は、全体としては底堅く推移している。固定資産投資も、インフラ投資の増加から、増勢の鈍化に歯止めがかかりつつある。一方、輸出は、欧州向けの減少を反映して、弱めの動きが続いている。こうした需要動向のもとで、在庫調整圧力が根強く残っているため、生産の増勢は鈍化した状態が続いている。NIEs、ASEAN経済は、持ち直しつつあるが、その動きは企業部門を中心に緩やかになっている。輸出や生産は、欧州向け輸出の減少などを反映して、弱めの動きが続いており、企業マインドも慎重化している。そうしたもとで、設備投資は伸び悩んでいる。一方、個人消費は底堅く推移している。物価面をみると、これらの国・地域の多くでは、労働需給の逼迫を受けた賃金上昇が持続するなど、物価上昇圧力はなお残存しているが、物価上昇率は横ばい圏内で推移している。インド経済は、減速した状態が続いている。海外の金融資本市場をみると、欧州債務問題を背景とする投資家のリスク回避姿勢はやや後退した状態が続いているものの、今後の市場の展開には十分注意していく必要がある。スペインやイタリアの国債の対独スプレッドは、スペインの格付けが据え置かれたことなどが好

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感され、はっきり縮小している。米欧の株価は、欧州情勢や経済指標などを材料に振れの大きな動きとなる中、足もと下落している。こうした状況のもとで、米国やドイツの長期金利は、低水準で僅かに上昇している。米欧の社債市場をみると、信用スプレッドは横ばい圏内の動きとなっている。欧州系金融機関の資金調達環境は、引き続き総じて落ち着いている。ユーロのターム物金利の対OISスプレッドは、緩やかな縮小基調が続いている。ドルのターム物金利の対OISスプレッドは縮小傾向を辿っており、為替スワップ市場におけるドル調達プレミアムは、低水準で横ばい圏内の動きとなっている。この間、新興国・資源国の株価や通貨は、前回会合対比、弱含んでいる。4.国内金融経済情勢(1)実体経済7~9月の実質輸出は、4~6月の増加の反動もあって、大幅減少となった。月次でみると、9月の前月比は5か月連続で減少している。この間、7~9月の鉱工業生産は、2四半期連続で減少し、減少幅が拡大した。企業の業況感に関する月次調査では、製造業において慎重化の動きがやや目立ってきている。そうしたもとで、設備投資については、中小企業の7~9月実施割合や 2012年度計画に関する調査は依然しっかりしているものの、輸出関連の影響を受けやすい機械受注統計には弱めの動きが出ている。

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公共投資は、出来高統計にみられるように増加を続けているものの、発注を示す請負金額は7~9月に前期比横ばいとなり、先行きの増勢鈍化を示唆している可能性がある。雇用については、足もとでは、製造業を中心に、新規求人が減少しているほか、所定外労働時間が伸び悩んでいる。個人消費については、底堅さを維持しているとはみられるが、年前半までの増勢が一服していることが明確になりつつある。物価については、国内企業物価を3か月前比でみると、既往の国際商品市況の動きを反映して、マイナス幅を縮小している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。(2)金融環境わが国の金融環境は、緩和した状態にある。資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は、改善傾向が

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続いている。CP・社債市場の発行環境は、総じてみれば、良好な状態が続いている。資金需要面をみると、運転資金や企業買収関連を中心に増加の動きがみられ、銀行貸出の前年比はプラス幅が幾分拡大している。企業の資金繰りをみると、総じてみれば、改善した状態にある。Ⅱ.金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要1.経済情勢国際金融資本市場の動向について、委員は、欧州債務問題を背景とする投資家のリスク回避姿勢は、一頃に比べるとやや後退しているとの認識を共有した。そのうえで、委員は、ギリシャの財政・経済構造改革の進展や、スペインの欧州安定メカニズム(ESM)への支援要請の有無、銀行監督の一元化に向けた取り組み等を巡って不透明感の強い状況はなお続いており、今後の市場の展開には十分注意していく必要があるとの認識を共有した。海外経済について、委員は、昨年後半以降、欧州債務問題の悪影響が貿易や企業マインドのルートを通じて世界的に拡がっており、最近は、多くの国や地域で、製造業部門を中心に減速の度合いが強まっているとの認識で一致した。先行きについて、委員は、当面減速した状態が続くとみられるが、国際金融資本市場が総じて落ち着いて推移するとの想定のもと、減速した状態から次第に脱し、緩やかな回復に転じていくとの見方を共有した。

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一人の委員は、海外経済の回復時期が後ずれしたり、回復ペースが緩やかになる可能性を意識する必要があると述べた。ユーロエリア経済について、委員は、緩やかに後退しているとの認識を共有した。複数の委員は、欧州経済の不振が貿易チャネルを通じて中国経済のブレーキになり、世界貿易量の伸びを強く圧迫していると述べた。先行きについて、委員は、域外輸出の増加からユーロエリアのコア国が成長率を徐々に高めていくものの、周縁国では緊縮財政が続くことから、全体でみても回復の勢いに乏しい状態が続く可能性が高いとの見方を共有した。中国経済について、委員は、インフラ投資などに動意がみられるが、素材産業など幅広い分野で在庫の積み上がりが解消しておらず、在庫調整局面が長引いていることから、ここ数か月でみると、成長ペースの減速の度合いもやや強まっているとの認識を共有した。先行きについて、委員は、当面減速した状態が続くとみられるものの、金融・財

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政両面での景気刺激策の効果が顕在化し、在庫調整が進展していくにつれて、成長率は徐々に高まっていくとの見方で一致した。何人かの委員は、根強い在庫調整圧力や政策効果を巡る不確実性などを踏まえると、成長率が明確に回復するには時間を要するとみられると述べた。NIEs、ASEAN経済について、委員は、欧州や中国の最終需要の弱さの影響もあって、輸出や製造業の設備投資といった企業部門を中心に、持ち直しの動きが緩やかになっているとの認識を共有した。先行きについて、委員は、個人消費を中心に内需が堅調さを維持する中で、輸出が次第に増勢に転じていくことにより、持ち直しの動きがはっきりしていくとの見方で一致した。米国経済について、委員は、個人消費が緩やかに増加し住宅市場で持ち直しの兆しもみられるなど、全体としては緩やかな回復基調を続けているが、世界経済の減速やいわゆる「財政の崖」を巡る先行き不透明感の高まりから企業マインドが慎重化するもとで、設備投資や輸出、生産の増勢が鈍化しているとの認識で一致した。先行きについて、委員は、緊縮的な財政政策の影響を受けつつも、緩和的な金融環境などを背景に、緩やかな回復を続けるとの見方で一致した。一人の委員は、欧州や中国経済をはじめ、世界経済の減速が強まっている中で、米国経済が回復を続けることができるか注視していると述べた。

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複数の委員は、「財政の崖」の影響により、 2013年前半の経済活動が大きく抑制される可能性があると付け加えた。わが国の金融環境について、委員は、日本銀行が強力な金融緩和を間断なく推進する中で、緩和した状態が続いているとの認識で一致した。委員は、企業の資金調達コストは低水準で推移しており、CP・社債市場の発行環境も総じてみれば良好な状態が続いているとの認識を共有した。先行きについて、委員は、こうした緩和的な金融環境は、国内民間需要の自律回復への動きを後押ししていくとの見方で一致した。以上のような海外の金融経済情勢とわが国の金融環境を踏まえて、わが国の経済情勢に関する議論が行われた。委員は、海外経済の減速した状態が強まっていることを反映して、輸出や鉱工業生産が減少し、内需にもその影響が一部及び始めているとの認識で一致した。一人の委員は、海外経済減速の影響は製造業の設備投資に及び始めているとの見方を示した。委員は、9月の会合以降、景気は一段と下振れているとの認識を共有した。日中関係の影響について、一人の委員は、ハードデータでは十分に確認できていないが、支店長会議の報告などミクロ情報から判断すると、輸出や生産、観光需要に影響が出ていると

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の見方を示した。複数の委員は、生産や景気動向指数の動きなどを踏まえると、事後的に、景気の後退局面入りが認定される可能性があると述べた。こうした議論を経て、委員は、景気は弱含みとなっており、先行きも、当面横ばい圏内の動きにとどまるとの見方で一致した。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比について、委員は、概ねゼロ%となっており、先行きも、当面ゼロ%近傍で推移するとの見方で一致した。2.経済・物価情勢の展望経済情勢の先行きの中心的な見通しについて、委員は、7月の中間評価時点と比べると、海外経済の減速の影響などから、下振れているとの見解で一致した。そのうえで、委員は、今回の会合で金融緩和を一段と強化するのであれば、海外経済の成長率が再び高まることや、広い意味での復興関連需要などに支えられ、日本経済は次第に緩やかな回復経路に復していくとの見方を共有した。何人かの委員は、政府などによる成長力強化の取り組みが成果をあげることで、景気回復の持続性が増していくとの見方を強調した。2012年度下期から 2013年度にかけての景気展開について、委員は、輸出や鉱工業生産は、海外経済の減速が長引くもとで、当面弱めに推移するとの見方を共有した。

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2013年度の成長率について、委員は、復興関連需要による景気押し上げ効果が公的需要中心に徐々に減衰していくものの、海外経済の持ち直しが次第に明確になるにつれて、企業収益や雇用者所得の増加を伴いながら国内民間需要がしっかりとした伸びとなるため、潜在成長率をはっきりと上回るとの見方で一致した。2014年度について、委員は、海外経済が過去の長期平均を上回る成長を実現するほか、企業収益の改善や成長期待の高まりを背景に低金利の持つ景気刺激効果も強まっていき、これが国内民間需要を下支えするとみられることなどから、消費税率引き上げに伴う変動を除いた基調でみれば、潜在成長率を幾分上回る成長経路を辿るとの認識で一致した。また、消費税率引き上げの影響について、委員は、2013年度下期には、税率引き上げ前の駆け込み需要が相応の規模で発生すると予想されるため、一時的にかなり高めの成長となる一方、2014年度の成長率は、上期を中心に駆け込み需要の反動が出ることから、小幅のプラスにとどまる可能性が高いとの認識を共有した。消費税率引き上げの直接的な影響を除いて物価情勢の先行きを展望すると、大方の委員は、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移

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した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度には当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていくとの見方を示した。前提となる国際商品市況について、これらの委員は、当面は、海外経済の減速を反映して、均してみれば横ばい圏内で推移した後、新興国の経済成長に伴う食料・エネルギーの需要拡大などを背景に、基調的には緩やかな上昇傾向を辿ると想定されると述べた。一人の委員は、家計の購入単価の上昇傾向やパート労働の改善傾向などが、今後、消費者物価の上昇につながる可能性を指摘した。こうした見方に対し、複数の委員は、マクロ的な需給バランスと消費者物価との相関が依然として緩やかであることを踏まえると、マクロ的な需給バランスの改善が物価上昇率を引き上げる力を控えめにみておくべきであり、「1%に着実に近づいていく」との評価は難しいのではないかと指摘した。このうち一人の委員は、物価の先行きを考えるうえでは、労働市場の需給バランスの改善が重要であるが、単位労働コストがここ2四半期はっきりと減少していることなどを踏まえると、先行きについては慎重な見方をとらざるを得ないと付け加えた。委員は、こうした中心的な見通しに対する上振れ・下振れ要因についても議論を行った。

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まず、実体経済面の上振れ・下振れ要因として、委員は、①国際金融資本市場と海外経済の動向、②企業や家計の中長期的な成長期待に関する不確実性、③消費税率引き上げの影響に関する不確実性、④わが国の財政の持続可能性を巡る様々な問題、の4点を挙げた。海外経済を巡るリスクについて、多くの委員は、欧州各国の財政・金融システム・経済構造改革などの取り組みに対する懸念が再燃した場合には、国際金融資本市場における緊張が再び高まることを通じて、欧州経済のみならず、世界経済ひいてはわが国経済の下振れ要因となり得ると指摘した。米国経済について、これらの委員は、家計のバランスシート調整圧力がなお根強く残っているもとで、欧州債務問題の悪影響に加えて、「財政の崖」の問題など財政政策の不確実性も意識されていることが、景気の抑制要因として強く働き得ると述べた。中国経済を巡る中長期的なリスクとして、何人かの委員は、過剰設備の問題の克服を通じて、従来の高度成長から持続可能な安定成長へ順調に移行できるかとの点を指摘した。また、多くの委員が、日中関係の影響は既に現れているが、リスク要因として、影響の広がりが懸念されると指摘した。何人かの委員は、全体として、下振れ要因をより強く意識すべき状況ではあるが、いくつかの上振れ要因もあると指摘した。具体

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的には、米国について、住宅部門の回復が加速することで個人消費が刺激されたり、財政政策の不確実性が払拭されることで企業活動が活発化するといった上振れ要因や、わが国について、政府による成長力強化の取り組みが予想以上の成果を挙げるという上振れ要因もあると述べた。物価に固有の上振れ・下振れ要因について、委員は、①マクロ的な需給バランスに対する物価の感応度に不確実性があること、②企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向、③輸入物価の動向、の3点を指摘した。マクロ的な需給バランスに対する物価の感応度について、何人かの委員は、企業の低価格戦略や家計の低価格志向、短期的なインフレ予想の低迷がマクロ的な需給バランスに対する物価の感応度を低下させる可能性には、特に注意する必要があると述べた。こうした経済・物価見通しに対する上振れ・下振れ要因に関する議論を経て、委員は、リスク・バランスとしては、下振れリスクの方をより注意する必要があり、金融・為替市場動向の景気・物価への影響にも引き続き注意が必要であるとの認識を共有した。以上を踏まえ、委員は、経済・物価情勢について2つの「柱」による点検を行った。

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まず、第1の柱、すなわち、先行き 2014年度までの経済・物価情勢について、大方の委員は、①わが国経済は、当面横ばい圏内の動きにとどまるとみられるが、国内需要が全体としてみれば底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していくと考えられる、②消費税率引き上げの直接的な影響を除いた消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度には、当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていくとみられる、③したがって、相対的に蓋然性が高いと判断される中心的な見通しを総合的に評価すると、やや長い目でみれば、日本経済は、物価安定のもとでの持続的成長経路に復していく、との見解を示した。次に、第2の柱、すなわち、より長期的な視点も踏まえつつ、金融政策運営の観点から重視すべきリスクとして、委員は、景気面では、①欧州債務問題に端を発するテイル・リスクはやや後退しているが、国際金融資本市場や海外経済を巡り、なお大きな不確実性があり、重要な下振れリスクである、②中長期的な成長期待については、成長力強化への取り組みの成果次第では、上振れ・下振れ双方向の可能性が

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ある、③消費税率引き上げの経済への影響については、内外の過去の事例を踏まえると、不確実性が高い、④財政の持続可能性確保へ向けた取り組みも、経済動向に大きな影響を及ぼし得る、との認識を共有した。また、委員は、物価面では、マクロ的な需給バランスに対する物価の感応度や中長期的な予想物価上昇率、国際商品市況の動向などを、注視する必要があるとの認識を共有した。委員は、やや長い目でみて、発生確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大きな影響を与える可能性があるリスク要因という観点から、金融面の不均衡について点検すると、政府債務残高が累増している中で、金融機関の貸出は伸び悩む一方、国債保有は顕著な増加傾向にあるため、何らかのきっかけで長期金利が上昇した場合、金融機関の経営、ひいては日本経済全体に大きな影響を与える可能性がある点に留意しておく必要があることを改めて確認した。Ⅲ.当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要以上の2つの柱に基づく点検を踏まえ、委員は、当面の金融政策運営に関する議論を行った。次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、委員は、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す」という現在の方針を維持することが適当であるとの見解で一致した。

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委員は、経済・物価のシナリオは、海外経済、輸出、生産に加え、内需の一部でも、9月の金融緩和の強化時にみていたよりもさらに下振れており、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく軌道を踏みはずさないようにするためには、金融緩和を一段と強化する必要があるとの見解で一致した。そのうえで、委員は、9月に続き、資産買入等の基金を大幅に増額することが適当であるとの認識を共有した。基金の増額幅について、多くの委員は、長めの金利やリスク・プレミアムへのさらなる働きかけを通じて、企業や家計等の金融環境をより緩和的にするため、リスク性資産を含めて 10 兆円規模で増額することが適当と述べた。一人の委員は、為替相場への働きかけなどインフレ期待を高める一段の工夫が必要ではないかとの認識を示した。包括的な金融緩和政策の効果について、委員は、包括緩和が実体経済に及ぼす影響のうち、第一段階である金融環境への波及という点では、企業・家計が直面する金融環境は緩和した状態にあるとの認識を

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共有した。一方、第二段階である金融環境から実体経済への波及という点では、委員は、金融環境はきわめて緩和的であるが、こうした緩和的な金融環境が十分に活用されていないとの認識を共有した。第二段階における緩和効果の一層の浸透を図るため、委員は、金融機関の一段と積極的な行動と、企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す工夫をしていくべきとの認識を共有した。複数の委員は、金利の低下余地は限られてきているが、現在の金融環境が十分に活用されていけば、金融緩和が経済・物価へ及ぼす影響が強まることが期待できると付け加えた。こうした議論を踏まえ、資産買入等の基金の増額と貸出増加を支援するための資金供給の具体的な検討を行うため、議長は、増額対象となり得る金融資産のリスク量や市場規模、新たな資金供給として考えられる枠組みなどについて、執行部に説明を求めた。議長の指示を受けて、執行部は以下のような説明を行った。 日本銀行のリスク許容度や市場規模等との関係で、短期国債と長期国債については、増額することに大きな問題はない。リスク性資産については、CP・社債、REITは、市場規模との関係では増額に制約がある。また、ETFとREITは、リスク量が比較的大きい。

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 新たな資金供給については、金融機関の取り組みを中央銀行の機能を用いて支援する場合、金融機関の貸出増加額について、希望に応じてその全額を低利・長期で資金供給し、その際、資金供給の総額の上限は設定せず、無制限とすることが考えられる。こうした枠組みを1年程度実施した場合の資金供給の規模は、過去のデータに基づく試算によると 15 兆円程度になると考えられる。以上の執行部説明を受けて、委員は、まず、資産買入等の基金の増額について議論を行った。委員は、基金の増額幅について、長めの金利やリスク・プレミアムへのさらなる働きかけを通じて、企業や家計等の金融環境をより緩和的にするため、10 兆円規模で増額することが適当との認識で一致した。多くの委員は、9月の 10 兆円と合わせるとかなり思い切った幅の増額になると述べた。買入対象の資産について、委員は、短期国債、長期国債だけでなく、日本銀行のリスク許容度も考慮したうえで、リスク性資産も幅広く増額の対象とすべきとの認識を共有した。一人の委員は、貸出金利などに幅広く影響を及ぼし得る国債買入れを中心に増額することが適当と述べた。何人かの委員は、リスク性資産の増額の完了期限が本年末に迫っている一方で、

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わが国の景気が弱含みとなっていることを踏まえると、引き続き、リスク性資産を幅広く買い入れていくことが適当との見解を示した。このうち一人の委員は、リスク性資産を増額対象とすることにより、過度な不安心理の抑制が期待できると付け加えた。複数の委員は、リスク性資産を大量に買い入れると、日本銀行に損失が発生し、最終的に納税者負担につながる可能性に注意する必要があるとコメントした。一人の委員は、こうした強力な緩和措置がより広く周知されるよう、対外的にしっかりと説明していくべきと述べた。続いて、委員は、貸出増加を支援するための資金供給について議論を行った。委員は、金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す観点から、金融機関の貸出増加額について、希望に応じてその全額を低利・長期で資金供給することが適当との見解で一致した。また、委員は、資金供給の総額の上限を設定せず、無制限とすることが、金融機関の貸出増加への取り組みの大きな支えになるとの認識を共有した。一人の委員は、新たな措置が金融機関の積極的な取り組みを通じて潜在的な資金需要を掘り起こすきっかけになることを期待すると述べた。

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具体的な枠組みについて、委員は、金融機関の取り組みを効果的に支援していくためには、本措置の実施期間は1年程度としたうえで、資金供給の対象先は預金取扱金融機関、貸出増加の算出対象は金融機関向けを除く対民間貸出とし、円貨建て・外貨建て双方を含めて幅広く捉えることが適当との見解で一致した。一人の委員は、非居住者向けの円貸出を貸出増加の算出対象に加えることは、円高圧力の緩和という副次的な効果も期待できると付け加えた。また、委員は、貸付金利は貸付実行時の誘導目標金利による3年までの固定金利とし、貸付期間は最長4年まで延長可能とすることを通じて、金融機関による低利かつ長期の資金調達を可能とすることが、金融機関の取り組みの後押しにつながるとの認識を共有した。成長基盤強化支援との関係について、委員は、成長基盤の強化に取り組むことと、金融機関が貸出の総額を増やすことは相互に補完的であるため、日本銀行の政策姿勢を明確化する観点からは、既存の成長基盤強化支援と新設する貸出増加支援の2つを合わせて貸出支援基金と位置付けることが適当との認識で一致した。複数の委員は、2つの支援策は重複する面もあるが、それぞれが異なる役割を担うことになると付け加えた。

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一人の委員は、成長基盤強化支援を導入した当初に聞かれた、貸出競争を煽っているとの批判が、政策意図が浸透するにつれ後退していった経験を踏まえると、今回も、政策意図をきちんと説明していく必要があると述べた。

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貸出支援基金の創設には、貸付条件や方法等に関する具体的な検討を行う必要があるため、議長は、具体策を検討のうえ、改めて金融政策決定会合に報告するよう、執行部に対して指示を行った。また、コミットメントの文言について、複数の委員は、「当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく」との文言を変更し、それを対外公表文に明記することで、金利などへの働きかけをさらに強め、日本銀行の緩和姿勢をより明確にすることができないかと問題提起した。これに対して大方の委員は、現時点でコミットメントの文言を修正することには慎重な見解を表明した。これらの委員は、市場金利をみると、イールドカーブの中期ゾーンまできわめて低位で、日本銀行が金融緩和を継続していくことに対して市場で疑念が生じているとは考えられず、コミットメントの文言の変更が必要な状況にはないと指摘した。複数の委員は、将来的に文言の修正が効果をもつ局面になることも考えられるが、現時点ではないと述べた。また、資産買入等の基金の運営についても、これらの委員は、現行のコミットメントのもとで、増額を完了したら直ちに基金残高を取り崩すという運営を想定している市場関係者がいるとは考えにくいと付け加えた。

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何人かの委員は、仮に基金の運営について市場に誤解があるのであれば、増額完了後も、「1%」を目指して強力に金融緩和を推進していくというコミットメントの考え方に即して基金を運営していくことを、改めて対外的に説明していくことで払拭すべきとコメントした。複数の委員は、日本銀行の現状認識を正確に伝えるため、まだ「1%」を見通せるとの判断には至っていないことをしっかりと説明していくことが重要であると付け加えた。次に、デフレ脱却に向けた取り組みに関して、議長から、次のような提案があった。 日本銀行も政府も、デフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するというきわめて重要な課題を達成するため、努力を続けてきているが、ここへきて、わが国の景気は弱含みとなっており、日中関係の影響の広がりなど新たなリスク要因も出てきている。 こうした厳しい情勢認識のもとで、この課題を達成していくため、政府と日本銀行が最大限の努力を行うことや、それぞれが果たすべき役割について、両者が共有している認識を、改めて対外的に明確なかたちで示してはどうか。

§29

この提案を受け、委員は、日本銀行が強力な金融緩和を推進していく姿勢を改めて明確に伝えるとともに、政府が、デフレ脱却のためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を変革することが不可欠との認識を示すことで、それぞれの政策効果がより効果的なものになるとの見解で一致した。一人の委員は、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的な成長経路への復帰に向けて、日本銀行と政府がそれぞれ果たすべき役割を改めて確認し、その点を対外的に示していくことは重要であるとの見方を示した。別の一人の委員は、日本銀行として、強力な金融緩和を推進していくことを改めて確認するとともに、政府には、成長力強化に向けた取り組みを強力に推進していくことを期待したいと述べた。これらの委員は、これによって、日本銀行の独立性に関し疑義をもたれることがあってはならないと付け加えた。Ⅳ.政府からの出席者の発言内閣府の出席者から、以下の趣旨の発言があった。 わが国の景気は、引き続き底堅さもみられるが、世界景気の減速等を背景として、このところ弱めの動きとなっており、先行きも、当面は弱めの動きが続くと見込まれる。対外経済環境を巡る不確実性は高いと考えられ、高い警戒レベルで注視する必要がある。物価は、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。

§30

 「デフレ脱却に向けた取組について」の提案は、デフレ脱却に向けた政府・日本銀行の決意と両者一体となった取り組みを明確に示すものとして高く評価する。特に、デフレからの早期脱却を政府・日本銀行共通の課題と確認し、連名の文書として内外に明確なかたちで共同して表明、発表することはこれまでになく、10年以上にわたるわが国の課題であるデフレ脱却に向けた重要な一歩となる。 日本経済の再生に道筋を付けることは、現内閣の取り組むべき現下の最大の課題である。景気下押しリスクに対応し、デフレからの早期脱却と経済活性化に向けた取り組みを加速するため、まずは緊急性の高い施策について、先日、予備費の使用決定を行った。また、遅くとも 11月中を目途に経済対策を策定することとしている。この中で、「日本再生戦略」の重点3分野の施策を前倒ししていく。 展望レポートでは消費税率引き上げの影響を除いた消費者物価上昇率は1%に届いておらず、さらなる努力が必要である。政府が、「日本再生戦略」に基づき、デフレ脱却に向け、2013年度までを

§31

念頭に政策手段を動員することを踏まえ、日本銀行も、できる限り早期に「物価安定の目途」を実現するため、金融政策において最大限の努力をお願いする。本日提案のあった「資産買入等の基金」の増額は、時宜を得たものと考える。日本銀行には、引き続きデフレ脱却が確実となるまで、強力な金融緩和を継続するよう期待する。また、財務省の出席者からは、以下の趣旨の発言があった。 政府は、わが国経済の基調判断を、世界景気の減速等を背景として、このところ弱めの動きとなっているとし、3か月連続で下方修正した。先行きについては、欧州や中国等、対外経済環境を巡る不確実性が高く、こうした中で世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動等が、わが国の景気を下押しするリスクとなっている。 景気下押しリスクに対応し、デフレからの早期脱却と経済活性化に向けた取り組みを加速していくことが喫緊の課題という認識のもと、経済対策の第一弾として、緊要性の高い施策について予備費の使用を閣議決定したところである。政府としては、遅くとも11月中を目途として、経済対策の決定に向けた作業を進めていく。 日本銀行においても、機を逸することなく適切な行動をとって頂くことが重要である。今回「資産買入等の基金」の 11 兆円の増額が提案されたことは、時宜を得た適切な措置と評価している。

§32

他方、消費者物価上昇率1%に達する時期については、不確実性が大きい。日本銀行においては、引き続き金融政策の姿勢が伝わるようコミュニケーションを十分図りながら、内外の経済・金融資本市場等の動向を見極めつつ、当面目指すこととしている1%の早期実現に向け、継続的かつ、積極・果断な金融政策運営に取り組んで頂きたい。 デフレからの早期脱却は、政府によるマクロ経済政策及び構造改革と、日本銀行の金融政策が相俟って初めて実現されるものである。デフレからの早期脱却を政府・日本銀行の共通課題として明示し、両者が一体となって最大限の努力を行うことを文書のかたちで共同発表することは、デフレ脱却に向けた大きな一歩となる。政府としては、提案を大いに歓迎するとともに、この「共通理解」に掲げた政府側の取り組みを着実に遂行していく所存である。Ⅴ.採決1.金融市場調節方針以上の議論を踏まえ、委員は、当面の金融市場調節方針について、

§33

「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す」という現在の金融市場調節方針を維持することが適当である、との考え方を共有した。議長からは、このような見解を取りまとめるかたちで、以下の議案が提出され、採決に付された。金融市場調節方針に関する議案(議長案)1.次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。記無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す。2.対外公表文は別途決定すること。採決の結果賛成:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員、木内委員反対:なし2.「資産買入等の基金運営基本要領」の一部改正等に関する件委員は、金融緩和を一段と強力に推進する観点から、資産買入等の基金について、長期国債を5兆円程度、国庫短期証券を5兆円程度、CP等を 0.1 兆円程度、社債等を 0.3 兆円程度、指数連動型上場投資信託を 0.5 兆円程度、不動産投資信託を 0.01 兆円程度増額することが適当であるとの認識を共有した。そのうえで、「『資産買入等の基金運営基本要領』の一部改正等に関する件」が採決に付された。採決の結果、全員一致で決定され、会合終了後、適宜の方法で公表することとされた。

§34

3.「経済・物価情勢の展望」の決定続いて、「経済・物価情勢の展望」の「基本的見解」の文案が検討され、多数意見が形成された。これに対し、一人の委員は、消費者物価の前年比が 2014年度には1%に着実に近づいていくとの物価見通しに関する記述と、消費者物価の前年比上昇率1%が見通せるようになるまで強力に金融緩和を推進していくとの政策運営方針に関する

§35

記述について、変更する旨の議案を提出したいと述べた。この結果、以下の2つの議案が採決に付されることとなった。佐藤委員からは、物価見通しの記述について、「消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度には当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に着実に近づいていく」から「消費者物価の前年比は、当面ゼロ%近傍で推移した後、マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じていく」に変更し、政策運営方針の記述について、1%を「見通せるようになるまで」から「安定的に達成するまで」に変更する旨の議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。採決の結果賛成:佐藤委員、木内委員反対:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員議長からは、会合における多数意見を取りまとめるかたちで、「基本的見解」の議案が提出された。採決の結果、賛成多数で決定され、即日公表することとされた。また、背景説明を含む全文は、10月31日に公表することとされた。

§36

採決の結果賛成:白川委員、山口委員、西村委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員反対:佐藤委員、木内委員佐藤委員と木内委員は、①自身の物価見通しは展望レポートの記述に比べてより慎重であること、②今回決定した金融緩和の強化に加え、コミットメントの文言を変更すべきと考えていることから、反対した。4.対外公表文(「デフレ脱却に向けた取組について」)の検討次に、対外公表文(「デフレ脱却に向けた取組について」<別紙の別紙3>)が検討され、採決に付された。採決の結果、全員一致で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。

§37

5.対外公表文(「金融緩和の強化について」)の検討以上の議論を踏まえ、対外公表文(「金融緩和の強化について」<別紙>)が検討され、採決に付された。採決の結果、全員一致で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。Ⅵ.議事要旨の承認議事要旨(10月4、5日開催分)が全員一致で承認され、11月2日に公表することとされた。以上

§38

2012年10月30日日本銀行金融緩和の強化について1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、金融緩和を一段と強力に推進する観点から、以下の決定を行った。(1)資産買入等の基金の増額(全員一致)長めの金利やリスク・プレミアムへのさらなる働きかけを通じて、企業や家計等の金融環境をより緩和的にするため、資産買入等の基金を 80 兆円程度から 91兆円程度に 11 兆円程度増額する。増額分の買入対象資産ごとの内訳は、以下の通りとし、2013年12月末までに増額を完了する(注)(基金の全体像は別紙1)。長期国債:5兆円程度国庫短期証券:5兆円程度CP等:0.1 兆円程度社債等:0.3 兆円程度指数連動型上場投資信託:0.5 兆円程度不動産投資信託:0.01 兆円程度(2)貸出増加を支援するための資金供給の枠組みの創設(全員一致)金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す観点から、金融機関の貸出増加額について、希望に応じてその全額を低利・長期で資金供給する。資金供給の総額の上限は設定せず、無制限とする。議長は、執行部に対し、この新たな資金供給の枠組みについて具体的な検討を行い、改めて金融政策決定会合に報告するよう指示した(骨子素案は別紙2)。

§39

2.次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針については、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す」ことを決定した(全員一致)。3.海外経済は、減速した状態が強まっている。国際金融資本市場では、欧州債務問題を背景とする投資家のリスク回避姿勢はやや後退した状態が続いているものの、今後の市場の展開には十分注意していく必要がある。こうした状況のもとで、わが

§40

(注)ただし、指数連動型上場投資信託、不動産投資信託については、日本銀行法上の認可取得を条件とする。別紙

§41

国の輸出や鉱工業生産は減少し、これまで堅調に推移してきた内需にもその影響が一部及び始めている。このため、景気は弱含みとなっている。この間、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。先行きについては、欧州債務問題の今後の展開や米国経済の回復力、新興国・資源国経済の持続的成長経路への円滑な移行の可能性、日中関係の影響の広がりなど、日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい。金融・為替市場動向の景気・物価への影響にも、引き続き注意が必要である。4.以上の景気・物価情勢を踏まえ、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく軌道を踏みはずさないようにするため、日本銀行は、金融緩和を一段と強化することが適当と判断した。5.日本銀行は、日本経済がデフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識している。この課題は、民間企業、金融機関等の幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しがあいまって実現されていくものである。6.政府と日本銀行は、この課題を達成するために、それぞれの役割を果たしていく必要がある。日本銀行は、上述の認識に立って、強力な金融緩和を推進していく。

§42

日本銀行としては、政府が「デフレからの脱却のためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を変革することが不可欠である」との認識のもとで、日本経済の成長力強化の取組を強力に推進することを強く期待する。こうした両者の取組について、共有している認識を改めて明確に示すため、本日、政府とともに「デフレ脱却に向けた取組について」を公表することとした(別紙3)。このことは、それぞれが行う政策をより効果的なものとしていくと考えている。以上

§43

(別紙1)「資産買入等の基金」の規模(注1)2010年10月の導入時の基金の規模は、35 兆円程度であった。(注2)資産買入等の基金の残高は、10月20日現在、62.7 兆円となっている。(注3)日本銀行は、資産買入等の基金とは別に、年間 21.6 兆円の長期国債の買入れを行っている。(注4)指数連動型上場投資信託および不動産投資信託の増額については、日本銀行法上の認可取得を条件とする。基金の残高(9月末)基金の規模()内は従来の規模増額幅(12年12月末)(13年6月末)(13年12月末)(13年12月末)総額(注1、2) 61.8兆円程度兆円程度(75)兆円程度(80)兆円程度+ 11兆円程度資産の買入れ 31.1 40(50)(55) + 11長期国債(注3) 18.1 24.031.5(29.0)39.0(34.0) + 5.0国庫短期証券 7.4 9.514.5(14.5)19.5(14.5) + 5.0CP等 1.4 2.1 →2.2(2.1) + 0.1社債等 2.7 2.9 →3.2(2.9) + 0.3指数連動型上場投資信託(注4)1.4 1.6 →2.1(1.6) + 0.5不動産投資信託(注4) 0.10 0.12 →0.13(0.12) +0.01固定金利方式・共通担保資金供給オペレーション30.7 25.025.0(25.0)25.0(25.0) ―

§44

(別紙2)「貸出増加を支援するための資金供給」骨子 取引先金融機関の貸出増加額(基準時点からのネット貸出増加額)について、当該金融機関からの希望に応じて、その「全額」を日本銀行から資金供給する。 本措置による資金供給の総額の上限は、設定せず、「無制限」とする。  貸付金利は、貸付実行時の誘導目標金利(現在は0.1%とする。)による長期固定金利とする。 貸付期間は、各取引先の希望に応じて、1年、2年または3年とし、最長4年までロールオーバー可能とする。 本措置の開始後、1年程度の間、適宜の頻度で資金供給を行う。  資金供給の方式は、共通担保を担保とする貸付けとする。  対象先は、預金取扱金融機関とする。  貸出増加額を算出する対象与信は、対民間(金融機関向けを除く)貸出とし、円貨建て・外貨建てを含む。 本措置による資金供給と「成長基盤強化を支援するための資金供給」を合わせて、「貸出支援基金」とする。

§45

(参考)「貸出支援基金」のイメージ貸出支援基金総枠:「無制限」成長基盤強化を支援するための資金供給総枠:「5.5兆円」本則 3.5兆円ABL特則 0.5兆円小口特則 0.5兆円米ドル特則 120億米ドル(約1兆円)<現在の残高:3.4兆円>貸出増加を支援するための資金供給<新設>総枠:「無制限」直近データを当てはめた場合の単純計算:「15兆円」注)直近8月のデータによれば、取引先金融機関のうち貸出を増加させた先の貸出残高は、1年前に比べて約15兆円増加。

§46

(別紙3)デフレ脱却に向けた取組について政府及び日本銀行は、我が国経済のデフレ脱却に向けて、当面、以下のとおり取り組む。1.政府及び日本銀行は、我が国経済にとって、デフレから早期に脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であるとの認識を共有しており、一体となってこの課題の達成に最大限の努力を行う。2.日本銀行としては、上記1.の課題は、幅広い経済主体による成長力強化の努力と金融面からの後押しがあいまって実現されていくものであると認識しており、政府が成長力強化の取組を強力に推進することを強く期待する。日本銀行としては、「中長期的な物価安定の目途」を消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく。その際、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく。日本銀行は、『経済・物価情勢の展望』(平成24年10月30日)において消費者物価の見通しを公表した。日本銀行としては、引き続き「1%」を目指して、強力に金融緩和を推進していく。

§47

今後の物価動向については、「デフレ脱却等経済状況検討会議」において定期的に報告する。また、日本銀行は、金融政策運営の考え方を市場にわかりやすく説明していく努力を続ける。3.政府は、日本銀行に対して、上記2.の方針にしたがってデフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続することを強く期待する。政府は、デフレからの脱却のためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、デフレを生みやすい経済構造を変革することが不可欠であると認識している。このため、政府としては、足下の景気下押しリスクに対応し経済活性化に向けた取組を加速すべく、平成24年10月17日の内閣総理大臣指示に基づき、経済対策を速やかに取りまとめる。また、政府は、「日本再生戦略」(平成24年7月31日閣議決定)に基づき、平成25年度までを念頭に、「モノ」「人」「お金」をダイナミックに動かすため、規制・制度改革、予算・財政投融資、税制など最適な政策手段を動員する。デフレ状況を含めた経済状況及び経済運営については、「デフレ脱却等経済状況検討会議」において、定期的に点検を行う。平成24年10月30日日本銀行総裁内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)白川方明前原誠司財務大臣城島光力