当面の金融政策運営について(12時18分公表)
全文
§1
2015年7月15日日本銀行当面の金融政策運営について1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成8反対1)(注1)。マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。2.資産の買入れについては、以下の方針を継続する(賛成8反対1)(注1)。① 長期国債について、保有残高が年間約 80兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。ただし、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、金融市場の状況に応じて柔軟に運営する。買入れの平均残存期間は7年~10年程度とする。② ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約 3兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。③ CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。3.わが国の景気は、緩やかな回復を続けている。海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は、振れを伴いつつも、持ち直している。企業収益が改善するなかで、業況感は総じて良好な水準で推移しており、設備投資は緩やかな増加基調にある。
§2
雇用・所得環境の着実な改善を背景に、個人消費は底堅く推移しているほか、住宅投資も持ち直しつつある。この間、公共投資は、高水準ながら緩やかな減少傾向に転じている。また、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。
§3
4.先行きのわが国経済については、緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられる。5.4月の「展望レポート」で示した見通しと比べると、成長率は、2015年度について幾分下振れる一方、2016年度、2017年度については概ね不変である。消費者物価は、概ね見通しに沿って推移すると見込まれる1。6.リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。7.「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注2)。以上
§4
(注1)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、白井委員、石田委員、佐藤委員、原田委員、布野委員。反対:木内委員。なお、木内委員より、マネタリーベースおよび長期国債保有残高が、年間約45 兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節および資産買入れを行うなどの議案が提出され、反対多数で否決された。(注2)木内委員より、 2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、2つの「柱」に基づく柔軟な政策運営のもとで、資産買入れ策と実質的なゼロ金利政策をそれぞれ適切と考えられる時点まで継続するとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、白井委員、石田委員、佐藤委員、原田委員、布野委員)。 1 各政策委員は見通し作成にあたって、原油価格の前提を次の通りとした。すなわち、原油価格(ドバイ)は、1バレル60 ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて70 ドル程度に緩やかに上昇していくと想定している。その場合の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対するエネルギー価格の寄与度は、2015年度で-0.7~-0.8%ポイント程度、2016年度で+0.1~+0.2%ポイント程度と試算される。また、寄与度は、当面マイナス幅を拡大した後、2015年度後半にはマイナス幅縮小に転じ、2016年度前半には概ねゼロになると試算される。
§5
(参考1)▽2015~2017年度の政策委員の大勢見通し――対前年度比、%。なお、<>内は政策委員見通しの中央値。実質GDP 消費者物価指数(除く生鮮食品)
§6
消費税率引き上げの影響を除くケース2015年度+1.5~+1.9<+1.7>+0.3~+1.0<+0.7>4月時点の見通し+1.5~+2.1<+2.0>+0.2~+1.2<+0.8>2016年度+1.5~+1.7<+1.5>+1.2~+2.1<+1.9>4月時点の見通し+1.4~+1.8<+1.5>+1.2~+2.2<+2.0>2017年度+0.1~+0.5<+0.2>+2.7~+3.4<+3.1>+1.4~+2.1<+1.8>4月時点の見通し+0.1~+0.5<+0.2>+2.7~+3.4<+3.2>+1.4~+2.1<+1.9>(注1)「大勢見通し」は、各政策委員が最も蓋然性の高いと考える見通しの数値について、最大値と最小値を1個ずつ除いて、幅で示したものであり、その幅は、予測誤差などを踏まえた見通しの上限・下限を意味しない。(注2)各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市場の織り込みを参考にして、上記の見通しを作成している。(注3)原油価格(ドバイ)については、1バレル 60 ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて 70 ドル程度に緩やかに上昇していくと想定している。
§7
その場合の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比に対するエネルギー価格の寄与度は、2015年度で-0.7~-0.8%ポイント程度、2016年度で+0.1~+0.2%ポイント程度と試算される。また、寄与度は、当面マイナス幅を拡大した後、2015年度後半にはマイナス幅縮小に転じ、2016年度前半には概ねゼロになると試算される。(注4)今回の見通しでは、消費税率について、2017年4月に 10%に引き上げられることを前提としているが、各政策委員は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いた消費者物価の見通し計数を作成している。消費税率引き上げの直接的な影響を含む2017年度の消費者物価の見通しは、税率引き上げが現行の課税品目すべてにフル転嫁されることを前提に、物価の押し上げ寄与を機械的に計算したうえで(+1.3%ポイント)、これを政策委員の見通し計数に足し上げたものである。(注5)政策委員全員の見通しの幅は下表の通りである。――対前年度比、%。実質GDP 消費者物価指数(除く生鮮食品)
§8
消費税率引き上げの影響を除くケース2015年度+1.0~+2.0 +0.2~+1.04月時点の見通し+0.8~+2.2 +0.2~+1.32016年度+0.9~+1.8 +0.8~+2.14月時点の見通し+0.8~+1.8 +0.8~+2.32017年度 0.0~+0.5 +2.0~+3.5 +0.7~+2.24月時点の見通し-0.1~+0.6 +2.0~+3.5 +0.7~+2.2 (参考2)▽政策委員の見通し分布チャート
§9
(1)実質GDP(2)消費者物価指数(除く生鮮食品)(注1)上記の見通し分布は、各政策委員の示した確率分布の集計値(リスク・バランス・チャート)について、①上位10%と下位10%を控除したうえで、②下記の分類に従って色分けしたもの。なお、リスク・バランス・チャートの作成手順については、2008年4月の「経済・物価情勢の展望」BOXを参照。(注2)棒グラフ内の○は政策委員の見通しの中央値を表す。また、縦線は政策委員の大勢見通しを表す。(注3)消費者物価指数(除く生鮮食品)は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベース。
§10
-2.0-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52.02.53.0-2.0-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52.02.53.0200620072008200920102011201220132014201520162017(前年比、%)年度実績値(前年比、%)-4.0-3.5-3.0-2.5-2.0-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52.02.53.03.54.04.5-4.0-3.5-3.0-2.5-2.0-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52.02.53.03.54.04.5200620072008200920102011201220132014201520162017(前年比、%)年度実績値(前年比、%)上位40%~下位40% 上位30%~40%下位30%~40%上位20%~30%下位20%~30%上位10%~20%下位10%~20%
§11
(参考) ・開催時間――7月14日(火)14:00~15:577月15日(水) 9:00~12:13 ・出席委員――議長黒田東彦(総裁) 岩田規久男(副総裁) 中曽宏(〃) 白井さゆり(審議委員) 石田浩二(〃) 佐藤健裕(〃) 木内登英(〃) 原田泰(〃) 布野幸利(〃) 上記のほか、7月14日財務省太田充大臣官房総括審議官(14:00~15:57)内閣府前川守政策統括官(経済財政運営担当)(14:00~15:57) 7月15日財務省宮下一郎財務副大臣(9:00~11:53、12:05~12:13)内閣府西村康稔内閣府副大臣(9:00~11:53、12:05~12:13) が出席。 ・金融経済月報の公表日時――7月16日(木)14:00 ・議事要旨の公表日時――8月12日(水)8:50以上