← 戻る
日本銀行声明2016年6月16日

当面の金融政策運営について

全文

§1

2016年6月16日日本銀行当面の金融政策運営について1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。(1)「量」:金融市場調節方針(賛成8反対1)(注1)次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。 (2)「質」:資産買入れ方針(賛成8反対1)(注1)資産の買入れについては、以下のとおりとする。① 長期国債について、保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。ただし、イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、金融市場の状況に応じて柔軟に運営する。買入れの平均残存期間は7年~12年程度とする。② ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約3.3 兆円1、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。③ CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。(3)「金利」:政策金利(賛成7反対2)(注2)日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。 1 このうち3,000 億円の買入れは、2015年12月の金融政策決定会合で決定した「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」を対象とするETFの買入れの実施に伴うものである。

§2

2.わが国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている。海外経済は、緩やかな成長が続いているが、新興国を中心に幾分減速している。そうしたもとで、輸出は持ち直しが一服している。国内需要の面では、設備投資は、企業収益が高水準で推移するなかで、緩やかな増加基調にある。個人消費は、一部に弱めの動きもみられるが、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、底堅く推移している。住宅投資は再び持ち直しており、公共投資は減少ペースが鈍化している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、地震による影響もあって、横ばい圏内の動きを続けている。わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば全体として上昇しているとみられるが、このところ弱含んでいる。3.先行きのわが国経済については、当面、輸出・生産面に鈍さが残るとみられるが、家計・企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、新興国経済が減速した状態から脱していくことなどを背景に、緩やかに増加するとみられる。このため、わが国経済は、基調として緩やかに拡大していくと考えられる。

§3

消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面小幅のマイナスないし0%程度で推移するとみられるが、物価の基調は着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる(注3)。4.リスク要因としては、中国をはじめとする新興国や資源国に関する不透明感に加え、米国経済の動向やそのもとでの金融政策運営が国際金融資本市場に及ぼす影響、欧州における債務問題の展開や景気・物価のモメンタム、地政学的リスクなどが挙げられる。こうしたもとで、金融市場は世界的に不安定な動きが続いており、企業コンフィデンスの改善や人々のデフレマインドの転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクには引き続き注意する必要がある。5.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続する。今後とも、経済・物価のリスク要因を点検し、「物価安定の目標」の実現のために必要な場合には、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で、追加的な金融緩和措置を講じる(注4)。以上

§4

(注1)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、石田委員、佐藤委員、原田委員、布野委員、櫻井委員。反対:木内委員。なお、木内委員より、マネタリーベースおよび長期国債保有残高が、年間約 45 兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節および資産買入れを行うなどの議案が提出され、反対多数で否決された。(注2)賛成:黒田委員、岩田委員、中曽委員、石田委員、原田委員、布野委員、櫻井委員。反対:佐藤委員、木内委員。佐藤委員、木内委員は、マイナス金利は市場機能や金融仲介機能および国債市場の安定性を損ねることから、所要準備額を除く日本銀行当座預金については+0.1%の金利を適用することが妥当として反対した。(注3)木内委員より、消費者物価の前年比は、当面小幅のマイナスないし0%程度で推移するとみられるが、その後はかなり緩やかに上昇率を高めていくとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、石田委員、佐藤委員、原田委員、布野委員、櫻井委員)。

§5

(注4)木内委員より、 2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、 2つの「柱」に基づく柔軟な政策運営のもとで、資産買入れ策と実質的なゼロ金利政策をそれぞれ適切と考えられる時点まで継続するとの議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、石田委員、佐藤委員、原田委員、布野委員、櫻井委員)。

§6

(参考) ・開催時間――6月15日(水) 14:00~15:316月16日(木) 9:00~11:38 ・出席委員――議長黒田東彦(総裁)岩田規久男(副総裁)中曽宏(〃)石田浩二(審議委員)佐藤健裕(〃)木内登英(〃)原田泰(〃)布野幸利(〃)櫻井眞(〃) 上記のほか、6月15日財務省太田充大臣官房総括審議官(14:00~15:31)内閣府西川正郎内閣府審議官(14:00~15:31) 6月16日財務省坂井学財務副大臣(9:00~11:14、11:27~11:38)内閣府西川正郎内閣府審議官(9:00~11:14、11:27~11:38)が出席。 ・公表日時当面の金融政策運営について――6月16日(木)11:45主な意見――6月24日(金)8:50 予定議事要旨――8月3日(水)8:50 予定以上